隠れABヒロイン
アニメ界を強力に支配し続ける血液型お約束。その中でも対照的な性質を持った
O型キャラとAB型キャラが対立する「対立法」、そして各血液型に異なる性質を
持った3〜5人の主人公が同時活躍する「分割法」はキャラクター造詣における
優秀なテンプレートとして重宝されている。この両方のテンプレートで使用されて
いるAB型キャラは必然的に、本来最小数派であるにも関らず数多くの作品に登場し、
重要な位置を占めている。これ故に「アニメとはAB型神話である」と嘯いてもいるわけだ。
しかし実際の所、AB型キャラに対する人気と言うのはそれほど高いわけでもない。
悪役や汚れ役、主人公の引き立て役に甘んじるケースが大半だからだ。
それでも、男性キャラの方はデスラー総統やシャア=アズナブルの頃からの
慣わしで、クールなライバル・アンチヒーローとして人気を博すことが多々ある。
問題はAB型ヒロイン。実は、A型ヒロインやO型ヒロインの引き立て役に終ってしまう事が
多く、それほど広く人気を獲得したAB型ヒロインというのは少ないのである。例えば、
表1 OヒロインとABヒロイン
|
O |
人気 |
AB |
| キャンディキャンディ(1976) |
キャンディ |
>> |
イライザ |
| 超時空要塞マクロス(1982) |
リンミンメイ |
>> |
早瀬未沙 |
| 機動戦士Zガンダム(1985) |
フォウ=ムラサメ |
> |
ファ=ユィリィ |
| 機動戦士ガンダムZZ(1986) |
エルピー=プル |
>> |
リィナ=アーシタ |
| トップをねらえ!(1988) |
タカヤノリコ |
> |
ユング |
| 美少女戦士セーラームーン(1992) |
月野うさぎ |
>> |
火野レイ |
| 赤ずきんチャチャ(1994) |
チャチャ |
> |
やっこ |
| GS美神(1994) |
おキヌちゃん |
< |
美神令子 |
| 天地無用!(1995) |
砂沙美 |
>? |
魎呼 |
| デ・ジ・キャラット(1999) |
でじこ |
> |
ぴよこ |
このように、公式設定がある作品だとまずO型ヒロインの方に人気が集まる。
相手は手の付けようが無い程の自己中女(笑)ばかりなのにかくも惨敗してしまうのは
明かに口調と態度がキツイせいなのだが、この手のヒロインの走りであるイライザはともかく
として(笑)実は有能で細かい気配りの出来る良い人が多く、なんか損してるな、と思わ
ざるを得ない。「純粋で優等生」なA型ヒロインや「天然で気が良い」B型ヒロインと組んだ
場合でもまず「キツイ女」か「ヘンな女」としてヨゴレ役を引き受け人気を引き渡してしまう。
男性の場合だと斜に構えたクールな態度やその有能さがモテたりもするのだが、女性の
場合はまず嫌われる要因にしかならないようだ。女は大人しくお茶汲みやコンパニオンを
やってなさい、でないと嫌われますよと世の婦女子に洗脳教育するための制作サイドの
策略だろうか(笑)。もっとも、アニメというのは比較的男尊女卑傾向が強いメディアであるが。
このように、何故か「出来る女」「上流階級の女」「近寄りがたい女」と言ったイメージをも
持ち合わせているAB型ヒロインは、そのA型ヒロインをも上回りかねない高い出演率に比して
それほど大して人気を獲得していないのが実情である。ところが、世の中には「公式設定こそ
無いものの、様々な人からAB型と思われていたり密かに強いAB型性を体現しているヒロイン」
即ち、隠れABヒロインと言うのがいる。この隠れABヒロインと言うのが、また凄まじい人気を
誇っていたりするのだ。以下、アニメ雑誌や血液型情報誌などの公刊物やネット上などで
「この人はAB型ではないだろうか?」と予想されたことのあるヒロインを列挙してみようと思う。
表2 隠れABヒロイン 予想
|
作品名 |
当サイト |
ネット上
の噂など |
公刊物 |
備考 |
| 浅倉南 |
タッチ |
A |
A |
AB |
ABOFAN |
| 綾波レイ |
新世紀エヴァンゲリオン |
AB |
A〜AB |
― |
― |
アルヌール
フランソワーズ |
サイボーグ009 |
AB |
― |
AB |
「あしたの〜」 |
| オスカル |
ベルサイユのばら |
A |
― |
AB |
ABOFAN |
| お蝶夫人 |
エースをねらえ! |
A〜AB |
― |
AB |
「あしたの〜」 |
| 音無響子 |
めぞん一刻 |
A |
A〜AB |
AB |
「恋愛〜」 |
| クララ |
アルプスの少女ハイジ |
AB |
― |
AB |
「あしたの〜」 |
| セイラ=マス |
機動戦士ガンダム |
AB |
― |
AB |
「あしたの〜」 |
| ナウシカ |
風の谷のナウシカ |
O |
AB |
AB |
「アニメ」 |
| ノンちゃん |
魔女っ子メグちゃん |
AB |
AB |
― |
― |
| ベルダンディー |
ああっ 女神さま |
AB |
― |
O |
ファンブック |
| 源しずか |
ドラえもん |
A |
A〜AB |
― |
― |
| 峰不二子 |
ルパン3世 |
B |
B |
AB |
「あしたの〜」 |
| メーテル |
銀河鉄道999 |
A |
A〜AB |
― |
― |
| ヨシ江はん |
ジャリん子チエ |
― |
― |
AB |
「恋愛〜」 |
| ラキシス |
ファイブスターストーリーズ |
(注) |
― |
― |
― |
<略記号紹介>
「あしたの〜」=サンマーク出版:漫研血液型特搜班(編)
「矢吹丈(あしたのジョー)はB型だった?!」
「アニメ」=徳間書店:「アニメージュ」
「恋愛〜」=澪雫:河内厚郎著「血液型を信じないあなたのための血液型恋愛術」
(注) 作者の永野護が川村万梨阿キチガイで自作品に必ず彼女をモデルとしたヒロインを
登場させるのを皮肉って。実際はどうだか分かりません。
一見しただけでえらいことになってるのがお分かり頂けただろうか。アニメの歴史において
まさにカリスマとして君臨してきた伝説級のヒロインがずらっと揃っている。勿論、本来は
全人口の9%強を占める最小数派のAB型も、ことアニメ漫画架空のキャラクターに血液型
と言う記号を割り振る際には4分の一の確率で割り振られてしまうため架空の世界においては
極端な最小数派に成り難いこと(笑)、即ち、あるキャラクターにクジやサイコロで無作為に
血液型を割り振ったとしても4回の内1回の高確率で「この人はABでしょう」と誰かが宣言する
わけだから…ましてや今回は複数の人からの予想を都合の良い所だけ切り貼りしてかき集めた
わけだから、全くの偶然やコジツケと片付けてしまうことも可能である。だいたいこんな女性が
現実に存在してたまりますか(禁句)まあ、実際人間じゃない人が数名
混じっているが。
だが、架空のキャラクターの血液型予想とは言え仮にも何らかの基準に基づいて血液型の予測が
成されたのであり純粋な確率計算の問題でもなさそうだ。つまり、この予測を行った人物は各ヒロインに
示された何らかの特徴を見てAB型女性と誤認した(またはAB型女性を何かと誤認した)のである。
では、一体彼女達の何処がAB型女性の特徴であると認識されたのだろうか。そこで、上記のリストに
記されたアニメヒロイン達の共通点を割り出してみようと思う。
まず、主人公より知的である、と言う点が上げられる。普通インテリ女は嫌われやすいものだが(笑)、
ある程度以上だと話は別のようだ。また何より潔癖症で気ぐらいが高い。その割りに冒険や戦争に
おいては男より勇ましい活躍振りを見せる。あまり感情を露にしないが表した時は無茶苦茶になりがち。
結構なんでもソツなくこなせる。が、一面おそろしく不器用(特に恋愛方面)。だが反面、純愛志向。
不思議なオーラと秘密主義で得体が知れない。極端に短気な人と極端に冷静な人の両極端(笑)。
良く言えば都会的でハイソ、悪く言えば不自然で人工物のような匂いがする。母性的な存在
(理想のママン)、または出来る女として類型される。が、肝心の所では意外と頼りない、脆さを
垣間見せる。説教臭い。こんなところだろうか。
当たり前の話だが、アニメや漫画のヒロインというのは現実に暮らしている生身の女性ではない。
あくまで幻想、理想、そして虚構の存在である。ここらへんをあまりゴッチャにせずそれはそれと
して楽しむのがエチケットというものだ。で、何が言いたいかというと上記のヒロイン達は、その
虚構のキャラクターの中でもかなり幻想拠り、つまり男性読者及び作者の理想像に近い存在と
して描かれているし、またそのような存在として捉えられたからこそカリスマ的な人気を博した
わけである。それが偶然…いやひょっとしたら必然かも…血液型性格判断を適用した場合
AB型っぽく見えてしまうのである。専門家やABOFANですら引っ掛かるのだから、その「紛ら
わしさ」は保証済みである(笑)。さて、ではその「AB型っぽく見える理想の女性像」とは何かと言えば、
これをユング派心理学ではアニマと表現する。そのアニマの中でも「叡智のアニマ」だろうか。
↓詳しい説明はここ↓
http://www.ffortune.net/spirit/sinri/genkei/gen08.htm
詳しい話はすごく長くまた面倒くさくなるのでまたの機会にするが(スマヌ)、日本アニメ界には
A型的アニマ・O型的アニマ・B型的アニマ・そしてAB型的アニマの4種類の幻想的女性像即ち
アニマが存在する。簡単に説明すると、
| A型的アニマ |
従順・純潔・調和的・一般的 |
| O型的アニマ |
現実肯定的・天衣無縫・情感的 |
| B型的アニマ |
反秩序的・自由奔放・蠱惑的 |
| AB型的アニマ1 |
叡智のアニマ |
| AB型的アニマ2 |
破壊的側面が強い |
ざっと世に出まわっている漫画アニメ作品を見る限りAやOがポピュラーなのだが、当然ながら(?)
AB型的アニマの力が一番強いと思われる。それだけに非日常性を喚起する力つまり破壊的側面も
また強く…要するに取り扱いには注意が必要(笑)。しかし実際、このアニマとAB型ヒロインの近似を
自覚して表現活動を行っているのは「セーラームーン」「ウテナ」などで有名な幾原邦彦監督くらいの
ものらしく、通常は作家が謎のインスピレーションにとりつかれて表現した女性像を、こちらが勝手に
「ABじゃないの」と鑑定しているだけで、最初から「よし、AB型ヒロインにしよう」と決めてから造られた
ヒロインは残念ながら大したモノにならないようである。故に、強力なアニマとして広く万人を魅了した
ヒロインは「血液型不明」であるパターンが多い。ま、元々アニマって人間そのものじゃないし。
ただ、日本には世間一般のステレオタイプな誤解(AB型は二重人格で宇宙人ぽいetc)と歴代の
名だたるクリエイター達が積み重ねてきた叡智・ノウハウ・そして何より偉大な勘違いの構造
(システム)の相互影響である種の血液型神話とも言うべき物語が形勢されている。
このお陰で、例え血液型が最初から割り振られていた場合でもそれなりの非日常性・聖性を
宿した「アニマのようなもの」が4種類ワンセットのバリュープライスで世に送り出されている。
分類記号としてはこの上なく便利なものだが…。
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